製造業においての顧問弁護士としての実績と問題となる法律

当事務所に所属する弁護士は、東京、大阪、神奈川、横浜、名古屋、静岡、九州等の自動車産業をはじめ素材メーカー、加工メーカー、食品メーカーなど多様な製造業の顧問弁護士及び社外役員等の実績を有しております。製造業は多くの法的規制の対象となっており、これらの法律を理解し遵守することは、企業の健全な経営と社会的責任を果たす上で極めて重要です。どのような法律がこの分野でどの場面で問題となるかの観点は、経験を有していなければ迅速に判断できないこともありますが、当事務所はその実績と経験を有しております。以下では、製造業に関わる主要な法律について解説します。

1. 労働関連法規、労働安全衛生法

労働基準法を筆頭に、労働関連法規の適用は製造業では必須であるといえます。労働時間管理はもちろんのこと、労働法規の改正への対応などを順次行わなければ、会社の資金流出につながります。また従業員に対する適正なルールの実行を担保するためには、就業規則の規定整備のみならず運用面とその証拠かが必須となりますので、どのような予防的対応が必要なのか助言します。またさらには、労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康の確保、および快適な職場環境の形成促進を目的としており無視できない法律分野ですが、労働者の紛争に関連して問題となることも多くしっかりとした対応が必要です。

主な労働安全衛生法の規制内容:

  • 事業場の規模に応じた管理者等の選任義務
  • 危険な作業に関する安全基準の遵守
  • 定期的な安全衛生教育の実施義務
  • 作業環境の定期測定と改善
  • 有害物質の取り扱いに関する規制

製造業の工場では、労働安全衛生法に基づく各種規則を遵守する必要があります。パートタイマーや期間従業員も「労働者」に含まれるため、全ての従業員の安全を確保する必要があります。厚生労働省

2. 製造物責任法(PL法)

製造業を担うにあたり、サプライチェーン上、部品供給なのか、製造物責任法(PL法)は、1994年に制定された法律で、製造物の欠陥により生命・身体・財産に損害が生じた場合、被害者が製造業者等に対して損害賠償を求めることができる制度を定めています。なお、取扱説明書の作成においても、表示の欠陥として認定される場合もあるので法令の要求事項に準拠した記載が必要となります。

また、製造業でもBtoBなのか消費者向けに商品を提供するのかによってもPL法のみならず、消費生活用品安全法、電気用品安全法、家庭用品品質表示法等の関連法規への対応も重要です。

主な規制内容:

  • 製造業者等の「無過失責任」の導入(過失がなくても責任を負う)
  • 「欠陥」の定義と製造物の範囲の明確化
  • 損害賠償責任の所在と範囲

製造物責任法の目的は、製造業者等に「製造物責任」を負わせることで、被害者の迅速かつ適切な救済を図ることにあります。この法律により、製造業者は製品の安全性確保に一層注力する必要が生じています。消費者庁

さらに進んで企業の下請け取引を中心に取り扱ってきた企業が直接的にBtoCの事業として消費者に販売する際に、各種消費者関連法への対応も必要です。

3. 環境関連法規

製造業は環境に大きな影響を与える可能性があるため、様々な環境規制の対象となっています。

主な環境関連法規:

  • 大気汚染防止法:工場からの排出ガスの規制
  • 水質汚濁防止法:工場排水の規制
  • 廃棄物処理法:産業廃棄物の適正処理
  • 化学物質審査規制法(化審法):化学物質の製造・輸入の規制
  • プラスチック資源循環法:プラスチック使用製品の設計・製造・販売・排出についての規定

特に近年は環境規制が強化される傾向にあり、製造業は生産工程の見直しや設備投資が必要になるケースが増えています。環境負荷低減は企業の社会的責任としても重要性が高まっています。東京都環境局

4. 独占禁止法

独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)は、公正かつ自由な競争を促進するための法律で、製造業にも適用されます。独占禁止法には様々なガイドラインがあり、優越的な地位の濫用、知的財産権にかかわるもの、販売時の流通にかかる再販売価格の拘束、拘束条件付き取引など不公正取引となりうる様々な類型があります。また、既存のガイドラインにのみならず公正取引員会が実態調査に乗り出し調査報告書を作成した分野に関しては、今後の規制強化や運用面の変化への影響も考えられることから常に最新の状態を把握しておく必要があります。ただし、中小企業や中堅企業がなかなか法律違反だと取引先にお話しできない場合、どのように交渉するかなどのアイディアの助言についても当事務所では経験値を有しています。

主な規制内容:

  • 価格カルテルや談合などの不当な取引制限の禁止
  • メーカーによる販売店の販売方法・価格の不当な制限の禁止
  • 私的独占の禁止
  • 不公正な取引方法(不当廉売、優越的地位の濫用など)の禁止
  • 知的財産と独占禁止法の分野
  • 取引・流通に関する分野、再販売価格の禁止

製造業者が卸売業者や小売業者に対して、販売価格、取扱商品、販売地域、取引先等の制限(垂直的制限行為)を行う場合、独占禁止法違反となる可能性があります。公正取引委員会

5. 下請法(下請代金支払遅延等防止法:改正後:受託中小企業振興法)

下請法は、下請事業者の利益を保護するために、親事業者の不公正な取引行為を規制する法律です。なお、当事務所の所属弁護士は中小企業庁下請け駆け込み寺事業の仲裁人候補者に登録しています。また、価格転嫁の対策についても大企業と交渉できるような仕組みづくりをどう行うか。1000件を超える中小企業の現場での相談事例を踏まえノウハウを有しております

主な規制内容:

  • 原材料口頭による取引先企業への価格転嫁のための体制整備
  • 下請代金の支払遅延の禁止
  • 下請代金の減額の禁止
  • 発注書面の交付義務
  • 取引記録の保存義務(5年間)
  • 受領拒否の禁止
  • 返品の禁止
  • 買いたたきの禁止
  • 中小企業庁等のアンケート調査の対応

下請法が適用される取引は「製造委託」「修理委託」「情報成果物作成委託」「役務提供委託」の4類型に分けられており、製造業からサービス業まで広範囲に適用されます。資本金の規模によって親事業者・下請事業者の区分がなされます。公正取引委員会

6. 知的財産権の保護・営業秘密管理

製造業として、自社の製品の知的財産の保護をどう確立するかは重要事項です。営業秘密管理体制を会社の規模に応じて提案します。職務発明規程の整備・運用への助言、特許の発掘の仕組み、営業秘密管理と特許法上の先使用権(特許権権利化していなくても特許県に対抗できる権利)の確保など、複数の法分野にわたる体制を整備します。大手の取引実務において無意識に技術情報を搾取されている中堅・中小企業の実態もあることから、取引や交渉の意識とルールを定めることでより自社の技術を守るための運用を助言します。単なる規約類の整備だけではなく、社内の理解力、人材育成に向けた社内勉強会の実施などの対応も可能です。

下記図表は特許庁、先使用権制度の円滑な活用に向けて―戦略的なノウハウ管理のためにー(第2版)からの引用となります。

7.その他の重要な法律

  • 工場のDX化とIT分野の問題、自社倉庫のロボット化による契約の留意点
  • 工場立地法:工場の立地に関する規制
  • 各種知的財産権関連法及び競争法
  • 電気用品安全法:電気製品の安全基準
  • 消費生活用製品安全法:一般消費者の生活の用に供される製品の安全性確保
  • 省エネルギー法:エネルギー使用の合理化
  • 化学物質管理促進法(PRTR法):化学物質の排出量の把握と管理
  • 資源有効利用促進法:3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進
  • その他各種技術標準等、品質保証のための自動化・デジタル化の要請

まとめ

製造業は多岐にわたる法規制の対象となっており、これらの法律を遵守することは企業の社会的責任を果たすだけでなく、リスク管理の観点からも重要です。特に近年は、環境規制の強化や製品安全に関する要求の高まりを受け、製造業者はより一層の法令遵守体制の構築が求められています。

製造業を営む企業は、関連法規の動向を常に把握し、法令遵守のための社内体制を整備することが必要です。特に、労働安全衛生、製品安全、環境保全、公正取引の分野では、違反時の罰則も厳しくなっているため、十分な注意が必要です。また各種製造業の取引関係の訴訟対応についても実績を有しておりお気軽にお問い合わせください。